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マザコンが悪いとは言わない。
けど何も、この世界で手越君がそんなキャラにならなくても……。
「手越君の好きな女の子のタイプって、どんな子?」
「オレの事が気になるのかな?安心して、ハニー。ハニーが一番だよ」
ウソっぽいセリフだけど、ママンって答えられなくて良かったとホッとしてしまう。
「あ、ありがと……」
「あー、その目は疑ってる目だね?でも、本音言っちゃえば、理想はこの卵焼きを作れるような人かな」
……前言撤回。
ハッキリと答えなかったけれど、手越君の中で、完全にママンがナンバーワンだ。
ママンがライバルかー。
難易度高いよ、このゲーム……。
「……ハニーは、ママンに似てるところがあって、一緒にいてホッとするんだよね」
手越君はそう言って、パクッと卵焼きを食べた。
ママンに似てるところがある?
私がっ?!
手越君の言葉に、膝に乗せていたお弁当箱をひっくり返しそうになった。
いやいやいや、それおかしいし!
だって、ママンはアメリカ人でしょ?
純粋な日本人である私が似ているところがあるなんて、それはおかしい。
「ま、またまた~。そんな事言ったら、手越君のお母さんに失礼だよ」
「まあ、そうだね。星の数ほど女の子はいるけれど、ママンを超える女の子はいないと思うんだよな」
……おい。
そこはチャラ男なんだし、上手く否定しなさいよ。
パクパクと自分のお弁当を食べながら、鳥肌が立っていくのを感じる。
ただのチャラ男だけなら、まだ頑張れると思ったのに。
ママンを超えるために頑張ろうだなんて、努力する気が起きない。
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