12
おそらく、この様子だと学園祭が終着地点だろう。
学園祭までどのくらいの日数が残っているのかわからないけれど、コツコツと親密度を上げていくしかない!
難易度高かろうと、手越君が苦手だろうと、他に女の子がわんさかいようと、尻込みしていたら何も始まらないもん。
「美奈、情報ありがとう!」
「もちろんだよ!意中の相手と頑張ってね!」
親指と人差し指を合わせてオッケーマークを作って、ウィンクする美奈。
美奈みたいに、いつも笑顔でニコニコとしていれば幸せだって寄ってくるよね?
よーし、頑張るぞ!
グッとこぶしを作って、心を決めたとたん目の前の風景が変わった。
「ハニー、今日は一緒にランチしないかい?」
「えっ?」
声をかけられて顔を上げると、手越君がお弁当を手にしていた。
朝からお昼にワープした……?
貴重な時間が飛ばされるなんてっ!
「うん、いいよ……」
それなら、お弁当を一緒に食べるというイベントははずせない。
2人きりって気まずいような気がするけど、手越君の事だからきっと話は尽きないだろう。
ここでもニコッと笑って言ってみた。
「やったね!じゃあ、屋上に行こうか!」
「うん」
私の答えに子どものような反応を見せる手越君。
チャラ男なのに可愛さも兼ねてるとか、反則。
無邪気な笑顔に少しドキドキしてしまう。
手越君と並んで屋上への階段を上がる。
リアルじゃ屋上は施錠されていて、出られない。
このシチュエーションはかなり憧れのものだった。
「夏は暑すぎて無理だけど、この時期はあったかくてピッタリだよ」
屋上へのドアを開けながら、手越君は説明してくれた。
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