5

女の子相手なら、誰にでも言っているセリフかもしれないけど、実際に言われるとやっぱり反応してしまう。



だって、こんなイケメンに可愛いとか言われるなんて。



嬉しくてにやけちゃうよ。



でも、そんな顔を見られたくなくて何とかこらえて、手越君と一緒にカフェに向かった。




「もうすぐ学園祭だけどさ、イケメンコンテスト、オレに投票してね」



「……え?」




イケメンコンテスト?



わからなくて聞き返すと、手越君はハハハと笑う。




「嫌だなー、忘れたの?毎年、各学年から2人ずつ選ばれて、学園祭で投票してナンバーワンイケメンを決めるんじゃん」



「あ、ああ、そうだった……!」




手越君の説明に私はゲームでもこんなイベントがあったなと思い出した。




「ま、今年もオレで決まりかなー?九条は今年も出場辞退してるしね」



「あー、なるほど」




学校1の人気者である九条君が出れば、完全に九条君で決まりだけど、出場辞退かー。



派手目なイベント好きそうじゃないもんね。



反対に手越君はこういうイベントめちゃくちゃ好きそうだし。



今年も……って事は、去年も優勝したんだ?



すごいなぁ。




「ま、人望だよ人望」



「……はあ」




……そっか。



投票制なら、人望厚いほうが確かに有利だよね。




「だから、ハニーも今年はオレに投票よろしくね」



「う、うん……」




他に入れる人もいないし、とりあえず私は返事をした。




「ほら、あそこだよ。新しくオープンしたカフェ」




手越君が指さした方向に、綺麗なカフェがあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る