25
「え、僕に?」
「……うん」
でも、中身は何なのか知らない。
まあ進行上、九条君に全く関係ない物が入っているって事はないと思うけど。
九条君は不思議そうな表情を浮かべながら、丁寧に包みを開けていく。
私も食い入るようにそれを見てしまう。
「……鏡?」
箱を開けると中から鏡が出て来た。
何というチョイスをしているの、私!
鏡なんて、今さら九条君にあげたって仕方ないじゃないーっ!
……って思ったけど。
「……これ、女優ミラーだ」
「女優ミラー?」
ライトがついている鏡の事だ。
私のつぶやきに、九条君が聞き返して来た。
「ほら、女優さんの楽屋の鏡って周りにライトがついてるじゃん?これも鏡の周りにライトついてるから、女優ミラー……」
そう教えてあげたけれど、今さら何で九条君にこれを……?
もっともっと輝けとでも言いたいのかって怒られそうだけど。
けど、女優ミラーの存在を九条君は知らなかったみたい。
知っていたら、わざわざ生徒会室の日の当たる場所に座って、日の光でキラキラ輝かせながら鏡なんか覗かないよね。
「ライトがつく鏡か……」
「もちろん、そんなものなくても、九条君は常に輝いて見えるよ?……誰よりもまぶしく」
ちょっとクサかったかなぁ……。
言ってから自分で照れる私。
「滝沢さん、ありがとう」
私の手をギュッとにぎって、九条君はフワッと優しく微笑んでくれた。
……初めて見る、あたたかくてやわらかい九条君の笑顔。
こ、これはもしかして、告白タイム……?!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます