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「だったら、内面から輝いてやるって、毎日鏡を覗くようになったのが始まりかな。……なかなか追いつけないけど」
はあ……。
切なげな顔で言うのはいいけれど、何もゆるキャラに対抗意識燃やさなくても。
「九条君は十分輝いてるよ!あんなゆるキャラの輝きなんて、作られたものじゃん。行こっ!」
グイッと腕を引っ張って、私は九条君を連れてタワーの中へと入る。
クリスマスイブともあって、結構人は多かったけれど、ここはリアルじゃないから、すんなりと展望台へのエレベーターに乗り込む事ができた。
「……あ、ごめんっ!」
その間もずっと九条君の腕をつかんでいた私は、ハッとして慌てて手をはなした。
リアルではないものの、何て大胆な行動をしてしまったんだろう。
一人で赤面していると、エレベーターの扉が開いた。
さっきまで夕焼け色だった空。
でもすでに夜の闇に包まれて、街の明かりが、宝石箱をひっくり返したかのようにすごく綺麗。
「九条君、綺麗だね!」
「……うん」
はしゃいで見せても、九条君のテンションは変わらなかった。
キラキラしているものを見れば、九条君のテンションが上がるかと思ったのに。
どうしたもんかなぁ。
首をひねっていると、持っていたバッグに違和感。
角ばった物が当たったので何が入っているのかと開けてみる。
すると、入れた覚えのないプレゼントの包みがあらわれた。
ワープの間に九条君のために準備したクリスマスプレゼントかな?
「九条君、メリークリスマス」
プレゼントの包みを手に取り、私は九条君にそれを差し出した。
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