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「キャー!かわいい!」
「こっち向いて~!」
主に女の子たちが群がっていて、みんなスマホを片手に何とか写真を撮ろうとしている。
ますます誰がいるのか気になって、人ごみをかきわけて何とか前に出てみた。
「……あれ」
でも、そこにいたのは芸能人ではない。
いや、その前に『人』ではなかった。
「え、何コレ……」
拍子抜けした私の視線の先にいたのは、無駄にキラキラとしている丸っこい体型のゆるキャラ。
左胸の辺りに、『きらめき君』という名札が貼られている。
頭がタワーの形になっていて、こちらもイルミネーションを意識したのか、電飾がピカピカと光っていた。
「僕のライバル、きらめき君」
「……はい?!」
ボソッと私の背後でつぶやいた九条君。
このゆるキャラが、九条君が認めたというライバル?!
ウソでしょー?!
白い犬をモチーフにしたらしく、ところどころに黒いブチ模様。
つぶらな瞳の愛くるしい顔ではあるけれど、九条君がライバルと認めた理由がよくわからない。
体に装着された電飾が色とりどりに光って、確かに綺麗だけど。
「この街であんなに輝きを放っているのはあいつの他に誰もいない」
「えー?!着眼点はそこなのー?!」
ちょっと待って……。
電飾でデコレーションされたゆるキャラにライバル意識持つなんて、九条君大丈夫?
「電飾でカンタンに輝けるのならと、試しに僕もやってみたけど、さすがに無理だった」
「そうだよね、さすがにそれはおかしいよ……」
実際に、某大物歌手が衣装で使っているのしか見た事ないよ……。
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