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本当、性格なんてどうでもいいよ。
ナルシスト以外は、九条君はいつも通りだし。
イジワル言うわけでもなく、俺様というわけでもない。
他人に興味がないだけで、こちらが近寄ればちゃんと応じてくれるんだもの。
本当、ナルシスト具合が強烈なだけ……。
「……本当はここに来るのは気が進まないんだ」
「え?そうなの……?」
タワーを見上げながらポツリとつぶやいた九条君。
今朝の曇った表情を思い出して、私が聞き返すと彼はコクリとうなずいた。
やっぱり嫌な思い出とかあるのかな……?
「……僕のライバルがいるんだよね、ここに」
「九条君の……ライバル?!」
九条君がそんな事を言うなんて……!
彼が認めたライバルって、どれだけキラキラしてる、麗しい人なんだろう?!
「そ、それってどんな人なの?!」
ドキドキしながら聞くと、憂いのある表情でため息をついた九条君。
語るのも気が進まないみたいだ。
そんな状態なのに、私が誘っても断らなかったのは、もしかしてもしかして……?!
ハッピーエンドへの期待に胸をふくらませてしまう。
「……あそこにいるよ」
「どこどこ?!」
九条君がゆっくりと腕を上げて、前方を指さしたので、私は左右に肩を揺らしながら行き交う人の波を避けて見つけようとする。
でも、九条君ほどの麗しい美貌の持ち主はどこにも見当たらない。
「……あれ?人だかりができてるとこがある!もしかして、芸能人か何かいるのかな?!行ってみようよ!」
指さした方向に、人が集まっている場所があったけれど、中心にいる人は見えない。
私は九条君の腕を引っ張ってそちらに向かった。
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