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「昨日は教えてくれてありがとね」
「ん?昨日?」
「え、電話で教えてくれたじゃない?きらめきタワーの事」
「アハハハ、何言ってんの!その電話は、先週の話じゃん。それより、今日頑張ってね。せっかくのイブなんだし」
「……はあっ?!」
ポンポンと美奈に肩をたたかれながら言われたけれど……今日がクリスマスイブ?!
電話をくれたのは、先週の話であって昨日の出来事ではなかった。
もしかして、昨夜寝てからクリスマスイブまでワープをしたっていう事?!
ちょっと、こんなんで親密度が上がるわけないじゃん!
九条君みたいなタイプは、地道な努力が必要だっていうのに……。
「きらめきタワーで両想いになった恋人は、永遠に幸せになれるんだって」
「両想いになれば、永遠に……」
よくあるウワサ話だ。
九条君ルートがハッピーエンドで終わったら、リアルな世界に戻るのかな?
まあ、ハッピーエンドで終わってからわかる事だから今考える事でもないけど。
「……あれが、きらめきタワー?」
ふと窓の外を見ると、街のシンボルのように立っているタワーが見えた。
クリスマス限定のイルミネーションが見える、きらめきタワー。
どんなイベントが待っているんだろう……?
「……滝沢さん?」
「……え?あ、はい!」
ぼんやりとタワーを見つめていたら、ワープしていた事に全く気が付かなかった。
我に返った時には、すでにタワーの入口に立っていて、九条君が私の顔を覗きこんでいる。
麗しい顔がそばにあったので、私はポッと顔が火照っていくのを感じた。
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