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リアルじゃないから、声をかけても無視される事なんてないし。
怖いものがなくなっている感じだ。
「おはよう、滝沢さん」
「おはよう、九条君。ねえ、今日の放課後、一緒にきらめきタワーに行かない?」
九条君の彼女でもないのに、こんな風にデートに誘えたりするんだ。
「きらめきタワー……」
だけど、彼は顔の表情を曇らせる。
あれ……。
お誘いするにはもしかして親密度が低すぎた?
そうだよね、九条君は全てのパラメータが高くないと、攻略できないキャラだもんね。
でも、パラメータなんて存在するのかなぁ。
「いいよ。一緒に行こう」
表情を曇らせた割に、すんなりとオッケーの返事がもらえて、私はホッとした。
今のは一体何だったんだろう?
……まさか、元カノとの思い出の場所とか?
九条君って元カノいた設定だったっけ?
そりゃ、学校一の人気者設定なら、元カノの1人や2人いてもおかしくないけどさ。
でも、その割に親衛隊みたいな女の子たちからの嫌がらせが全くないのはありがたい。
ゲームによっては、そんなエピソードが盛り込まれている場合もあるし。
ゲームとはいえ、さすがにそれは経験したくないや……。
九条君が立ち去って行くのを見送っても、場面は切り替わらなかった。
「つーぼみ。おっはよー!」
「あ、美奈」
手を振りながらニコニコとこちらに駆け寄って来た美奈。
美奈の方から話しかけてくれるなんて、珍しい。
いつもは私の方から都合のいい時だけボタン一つで呼び出しているだけだもんね。
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