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変な設定ではあるけれど、黙っていれば文句なしのイケメン揃いだからなぁ。
リアルには戻りたくないなって思ってる。
この世界では、私はメガネをしていないし前髪も長くない。
目立つような取り柄はないけれど、普通設定の私でもイケメンが勝手に話しかけてくれる。
それに何と言っても、傷つかない。
そうなんだよね。
不思議な事に、昨日九条君に結構傷つくような事を言われたけれど、何とも思わなかった。
もちろん、この世界がリアルでないっていう事を割り切っているせいなのかもしれない。
今までもゲームをやっていて、何人もの毒舌キャラと出会い、かなりひどい事を言われてきた。
でも、画面を通しての事だったし、『ゲーム』だから傷つくなんて事はなかったんだよね……。
リアルはそうはいかないもん。
グループ作って、他の子にあわせて好きでもない趣味に付き合ったり、行きたくもないトイレに付き合ったり。
顔色うかがってビクビクしているより、教室の隅っこで地味に大好きな乙女ゲームをひっそりとやっていた方が楽しい。
友達いなくて影で笑われる事もあるけれど。
ここではそんな人いないし、私を中心に世界が回る。
こんなに居心地いい世界なんて、どこにもないでしょ。
ベッドからおりたとたん、サーッと目の前の風景が変わっていく。
そして、気が付けば制服を着て学校のろう下に立っていた。
「……あ、九条君!」
前から九条君がやってくるのが見えて、私は手を振って声をかけた。
一番最初は彼を見ただけでも、緊張して言葉が出なかったのに。
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