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すると、目の前が幕を引いたようにゆっくりと暗くなっていく。
これでイベントが終わりかー。
変なイベントだったけれど、失望していたこの世界でほんの少しだけ前向きにはなれたかな。
そして、パッと変わった風景は、自分の部屋だった。
カーテンがしまっていたし、自分はイチゴ柄のパジャマを着ていたので、寝る前の時間にワープしたのだとわかる。
「はあ……」
思わず盛大なため息をついてしまった。
九条君ルート初日、かなりハードだった……。
ベッドに横になって、今日一日の事を思い返す。
ナルシストという強烈なキャラになっていたけれど、やはり九条君は九条君。
一つ一つの仕草が麗しくて、胸キュンポイントはたくさんあった。
そこは馬渕君とは違うと思う。
馬渕君ので免疫ついたっていうわけでもなさそうだけどね。
でも、失敗は繰り返さないようにしないと。
馬渕君の時は、向こうに告白を自己完結させられちゃったから。
九条君が自己完結しようとしたら、強引にでも引き止めて、自分の気持ちを口にしないとね。
「さて、そろそろ寝ようかな」
これは寝ないと、進まないかな?
そう思って私は布団の中に入った。
部屋の電気を消そうと、リモコンに手を伸ばした時、スマホが鳴った。
カバンに入れっぱなしだったから、もぞもぞと布団から出て、カバンの中を探ってスマホを取り出す。
誰かからの着信。
「もしもし?」
『やっほー、美奈だよー!つぼみ、起きてた?』
電話に出ると、聞こえて来たのは美奈の声だった。
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