14
「欲しいものかー。一つだけあるよ」
「え、なになに?!」
九条君でも欲しいものがあるんだ?
その答えに私は、ドキドキしながら待つ。
「……白雪姫に出てくる鏡かな」
「……はっ?!」
白雪姫に出てくる……鏡?!
そういえば今朝、鏡を覗きこんで何か言ってたっけ。
「白雪姫に出てくる鏡……?」
「うん。滝沢さん、知らない?白雪姫に出てくる鏡の事」
「いや、知ってるよ?この世で一番美しい人は誰?って聞けば答えてくれる鏡でしょ?」
「そう。それが欲しいんだよね……」
ウットリとした顔の九条君。
キラキラしたものじゃないし。
しかも、絶対に手に入らないものだし!
何よ、『白雪姫に出てくる鏡』って。
そんなに、自分の美しさを認めてもらいたいっていうわけ?
「……そんなものもらってどうするの?鏡が答えなくても、九条君は十分美しいよ?」
「そんな事はわかってる。でも、こんな事は人に聞ける事じゃないんだろ?」
「……まあ、そうだよね」
しかも学校一の人気者である九条君が他の人に『僕って美しい?』なんて言ったら、おかしい目で見られるよね。
納得するようにウンウンうなずいていると、強烈な視線を横から感じた。
不思議に思ってそちらを見ると、九条君がなぜか私を真剣な目で見つめている。
さっきまで、鏡の中の自分を見つめていたと思ったら、何でそんな目で私を……?
愛情が下がったんじゃないかと思いながらも、そんな風に見られたら途端に体温が急上昇。
心臓の鼓動も速くなり、緊張して手に汗までかいてきた。
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