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生徒会室の真ん中あたりで、男女が向き合う形になっていた。



男の子の方はもちろん九条君。



女の子の方は……わからないや。



ただ、髪の毛は真っ直ぐのストレートで、体型は細身。



顔も可愛い系だし、守ってあげたくなるような感じの女の子。



頬を赤らめて、うつむいた表情もすごく可愛い。




「……ごめん。僕には好きな人がいるんだ」




九条君が何て答えるのか、少しハラハラドキドキしちゃったけれど、予想外の答えに驚いた。



好きな人が……いる?!



え、ちょ、ちょっと待ってよ。



九条君がその状態だと、私が困るんですけど!



だって、私は今、九条君とハッピーエンドを迎えるために頑張ってるんだよ?



それなのに、間接的にもう失恋決定なわけ?



……まただよ。



私の気持ちは一切口にしていないのに、勝手に結末を迎えるって。



何で都合よく話が進んで行かないんだろう?



私が望んだ通りに何でいかないのよー!




「そ、そっか。ごめんね、聞いてくれてありがとう」




女の子はそう言うと、逃げるように生徒会室の後ろのドアから出て行った。



私が見ていた事に全く気が付いていないようだ。




「……あれ、終わらない」




間接的な失恋だから、攻略終了とか言われるかと思ったのに。



目の前の風景は変わらない。



という事は、まだ失恋確定というわけではないって事?



私の頑張り次第では、九条君が振り向いてくれるという可能性もあるって事だよね?




「はあ……。僕が美しいのはわかるけどさ」




中に入ろうとした時、九条君のため息まじりのひとりごとが聞こえて来た。

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