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でも、初めて九条君を目の前にした時は、緊張で言葉が出なかったからなぁ。



時系列でいうと、一昨日という事になるのかな?



……馬渕君は、実質二日で攻略かぁ。



しかも私がフラれた形のバッドエンドって。



どうにも納得いかないけれど、さすがに馬渕君をリベンジするのはちょっとね……。



制服に着替えて、部屋のドアを開けた瞬間、ワープが始まる。



今度は学校のどこから始まるんだろう?



パッと切り替わると、上靴をはいていて、ドアが開いた状態の職員室の前だった。



えっと、今はどんな状況にいるんだろう……?




「滝沢、待たせてごめんな。ほら、コレ。生徒会室に九条がいるはずだから、渡しておいてくれ」



「はい!……ええええええっ?!」




何の前触れもなく、九条君にイキナリお近づきになるイベント発生ですか?!



先生が茶色の書類袋を渡してきた。



それを受け取ると、職員室のドアが閉まる。



……生徒会室かぁ。



どこにあるんだろ?



首をかしげた時、風景が突然切り替わる。



ああ、良かった良かった。



ムダな移動をしっかりと省いてくれたという事。



今まで職員室の前に立っていたのに、どこに存在しているのかわからない生徒会室の前に私は立っている。



九条君、この中にいるのかな……?



そう思ったら、何か急にドキドキしてきた。



ドアを開ける手が震えているのが自分でもわかる。



様子をうかがいながら、静かにそっと生徒会室のドアを開けてみた。




「い、いた……っ!」




小さく叫び声を上げてしまった私。



九条君は窓際に座って、頬杖をついて窓の外を見ているようだった。

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