2
「……なさい!つぼみ、起きなさい!」
遠くから声が聞こえてくるような感じ。
……あ、これ、馬渕君の時と同じ始まり方だ。
パチッと目を開けて、私は起き上がる。
「いい加減に起きないと、学校に遅刻するわよ!」
「起きてるよ、もう!」
お母さんの声に大きな声で返事をして、私はベッドからおりた。
部屋の中を見回しても、赤やイチゴを主とした部屋の家具は馬渕君攻略と同じまま。
「これ、本当に九条君攻略ストーリーになってるよね?」
何も変化がないと、逆に不安になる。
だけど、心配は一瞬の事だった。
「さ、さっむ……!」
裸足だった私は、部屋の中の空気が冷たい事に気が付いて、身震いする。
そうだ、私は冬を選択したんだった。
馬渕君の時とは、真逆の季節だから寒いに決まってる。
いつもなら、この寒さに布団のぬくもりが恋しくてなかなか外に出られない状況だけど、今の私はハッピーな気持ちでいっぱいだった。
だって、九条君攻略ストーリーだよ?!
馬渕君が残念すぎた分、九条君への期待は高まるばかり。
寒くて外に行きたくない~って言っている場合じゃない。
早く学校に行って、九条君に会わないと!
そう思ったら、私の行動は早い。
クローゼットを開けて、冬の制服に着替える。
「ああ、どうしよう~。麗しの九条君にどんな風に声をかけようかなぁ」
幸い、アプリの方で九条君を攻略したばかり。
緊張で震えなければ、難なく攻略できるはず!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます