17
……ええええええっ!何その自己完結!
一人芝居、まさに劇団馬渕。
ハハハと思わず乾いた声が出てしまう。
爽やかで、時折見せる優しさがステキな馬渕君……のハズだったのに。
ここでの馬渕君は、壊れている。
完全にバグだよバグ。
そんな事を思っていたら、馬渕君がこちらに向かって歩いてきた。
「滝沢、すまない。俺は約束を守る事ができなかった。お前と付き合う事はできない」
「……えっ?」
……ちょ、ちょっと待って!
ウソでしょ?!何、この展開!
震える手で、馬渕君に向かって手を伸ばすけれど、彼は背を向けてどこかへ歩き出してしまった。
いやいやちょっと待ってくださいよ!
これって、もしかして私がフラれた事になってんの?!
おかしくない?
私は自分の気持ちを口にしていないんですけど!
勝手に告白してきて、勝手に盛り上がって、勝手に終わらせて……。
馬渕、おい、この野郎!
私をバッドエンドにするんじゃないわよーっ!
その時、目の前がサーッと幕が下りるかのように真っ暗になっていった。
『お疲れ様でした。残念ながら、馬渕翔太郎とはバッドエンドという結果になりました』
気づけば、ゲームを選択した場所に立っていた。
謎の声にハッと我に返る。
「いやいや、おかしいでしょ、あの馬渕君!私、自分の気持ち言ってないし!これでバッドエンド確定って、無茶苦茶すぎるんだけど!不具合じゃないの?完全にバグでしょ、あの馬渕君!」
『いいえ、不具合はございません』
私の猛抗議を一蹴する、透き通った声。
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