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不具合はございません……って。



じゃあ、あのシナリオを書いた人出しなさいよ!



胸キュンエピソードなんて、お姫様抱っこだけだったじゃない!



冗談じゃないわよ、もうっ!




『それでは、次に攻略するお相手と季節を選択してください』



「……今度は文句なしに九条君いくんだから!」




目の前に現れたモニターの画面を操作して、私は九条君を選択する。



季節は……そうだなぁ。



今、夏を選択して失敗したから、真逆の冬にしてみようかな。



九条君とホワイトクリスマスなんてピッタリだと思わない?



ロマンチックなスチルを頭の中で思い描いて、私は一人ほくそ笑む。




『それでは、頑張って攻略して下さい』




馬渕君を選択したと同じように、モニターから声がして、目を開けていられないほどのまぶしい光があふれ出した。



さすがに、九条君が馬渕君みたいにアツいキャラになっているという事はないでしょ。



一度見ただけだけど、九条君はアプリと同じように物静かな感じだったし。



馬渕君は準備運動みたいなものだよ。



これからが本番本番!



乙女ゲーム攻略サイトなしで、いくつも攻略してきた私の本気を見せてあげるんだから。



さあ、かかってきなさい!






深呼吸をして、九条君に備えての心構えはできた。



そして、最初と同じように急激な睡魔に襲われて、私はその場に崩れ落ちる。



変に心地よいあたたかい感覚に包まれながら……。

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