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俗に言う、お姫様抱っこの状態。
そのまま馬渕君は走って保健室に向かってくれた。
サッカー部なのに、砲丸投げにアツい変な馬渕君だとばかり思っていたけれど、しっかり胸キュンエピソードがあるなんて。
ゲームバランスどうなってるのか、意味不明……。
「先生いねーし、とりあえず横になっとけ」
保健室について、馬渕君は私をベッドの上におろしてくれた。
「あ、ありがと……」
「いや、俺が気が付かなかったからごめんな」
申し訳なさそうに謝る馬渕君。
さっきまであったアツさがどこかへ行ってしまっている。
こんな一面もあるんだ……。
「今度から、スポーツドリンクを大量に準備しておく。滝沢が砲丸投げに集中できるように」
……いやいや、気にするところはそこじゃないでしょ。
ちょっとだけ見直したのに、前言撤回。
アツい人はどこまでもアツいし、変わり者はどこまでいっても変わり者。
これは期待するだけムダかもしれない。
「滝沢、俺はこんな事になってから気が付いた。お前がどんなに大切なのかという事を」
「……へっ?」
素で変な声が出た。
まさかの告白モード突入?!
いや、ウソでしょ?!
だって明らかにこの状況はおかしいでしょ。
馬渕君を見れば、頬を赤らめて私から視線をそらした。
……これはマジだ。
けどそれならそれで、いいや。
だって、これで馬渕君の攻略は終わりのはずだし。
むしろ私からの告白イベントじゃなくて良かったよ。
「俺は滝沢の事が好きだ。付き合って欲しい……!」
馬渕君は決心したように、私をまっすぐに見つめて、ハッキリとそう言い放った。
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