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……ヤバい。
馬渕君に付き合って、アツくなるとかついさっき思ったばかりだけど、やっぱりムリかも。
サッカー部なんだから、延々とシュート練習をしていればいいのに、何で砲丸投げで汗かいてるわけ?
人がやっていない事にアツくなるという行為に、なんの意味があるんだろう……?
しかも、万が一砲丸が足の上に落ちて、ケガをしたら本職のサッカーができなくなるっていうのに。
「滝沢がいてくれるなら、いつもより気合いが入るぜ!うおおおおりゃああああああ!」
胸キュンどころじゃない。
お願いだから、人の名を叫びながら砲丸を投げないで……。
「ま、馬渕君。かなり汗かいてるし水分とったほうがいいよ?……あの、コレ」
いつの間にか手にしていた、冷えたスポーツドリンク。
ワープする途中に、この設定の準備で持たされたのかな?
ペットボトルを差し出すと、馬渕君はタオルで汗をぬぐいながら受け取った。
「サンキュー。じゃあ、次は滝沢の番だな」
「……え」
こんな炎天下で砲丸投げなんて……っ!
手渡された砲丸を両手で受け取るけれど、かなりの重さ。
誰がどういう目的でこの競技を考えたのか知らないけど、馬渕君がこんなにアツくなってくれているのだから、その人は本望かもしれない。
「いいか?砲丸を友達と思うんだ」
「……と、友達」
どこかで聞いたようなセリフ。
「そうだ。仲良くなれば、重さなんて感じなくなる!砲丸は友達!」
「いやいや、こんな重い友達はいらないし……っ!」
ついでに馬渕君とも友達にはなれないな……。
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