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「じゃ、そろそろ戻ろうかな」



「おう、そっか」




私が校庭から校舎内に戻ろうと方向転換をする。




「滝沢、また砲丸投げやろうぜ」



「……う、うん」




私を呼び止めた馬渕君は、ニッと笑って親指をグッとたてた。



馬渕君、笑顔は爽やかなのにそのポーズやっちゃうと何か暑苦しく感じる。



真夏だから余計に。



彼の爽やかさで、真夏の暑さもクールに過ごせるかもって思って夏を選択したのに逆効果だった。



これじゃ、彼の情熱で2,3度気温が上がっていてもおかしくないや。



……こんな馬渕君を見たら、馬渕君ファンはどう思うんだろう?



とぼとぼと校舎に向かっていると、また都合よく目の前の景色が暗くなった。



次に景色が切り替わった時、自分の部屋にいた。



という事は、もう今日のイベントは何もないという事になる。



……しかし、一緒に砲丸投げをするっていうイベントは嫌だなぁ。



馬渕君を相手にプレイしていた時は、それなりに胸キュンしたんだけどなぁ。



この状態だと、せっかく本人が目の前にいるっていうのに、胸キュンドキドキせずに終わりそう。



……まだ、始まったばかりだけど、ギブアップしたいわ。



とにかくサクサクいこう。




「そろそろ寝ようかな」




眠くなかったけれど、急にまぶたが重くなってきた。



これ、寝て起きたら夢でした……っていうオチだったりして。



そうだったら、変な夢見ちゃったよって、笑って終わりにできるんだけどなぁ。



そんな事を思いながら、私はベッドに横になり、目を閉じた。







「……なさい!つぼみ、起きなさい!」




遠くで私を呼ぶ声がする。



もう朝かー。



眠い目をこすりながら、ゆっくりと起き上がる。

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