10
「じゃ、そろそろ戻ろうかな」
「おう、そっか」
私が校庭から校舎内に戻ろうと方向転換をする。
「滝沢、また砲丸投げやろうぜ」
「……う、うん」
私を呼び止めた馬渕君は、ニッと笑って親指をグッとたてた。
馬渕君、笑顔は爽やかなのにそのポーズやっちゃうと何か暑苦しく感じる。
真夏だから余計に。
彼の爽やかさで、真夏の暑さもクールに過ごせるかもって思って夏を選択したのに逆効果だった。
これじゃ、彼の情熱で2,3度気温が上がっていてもおかしくないや。
……こんな馬渕君を見たら、馬渕君ファンはどう思うんだろう?
とぼとぼと校舎に向かっていると、また都合よく目の前の景色が暗くなった。
次に景色が切り替わった時、自分の部屋にいた。
という事は、もう今日のイベントは何もないという事になる。
……しかし、一緒に砲丸投げをするっていうイベントは嫌だなぁ。
馬渕君を相手にプレイしていた時は、それなりに胸キュンしたんだけどなぁ。
この状態だと、せっかく本人が目の前にいるっていうのに、胸キュンドキドキせずに終わりそう。
……まだ、始まったばかりだけど、ギブアップしたいわ。
とにかくサクサクいこう。
「そろそろ寝ようかな」
眠くなかったけれど、急にまぶたが重くなってきた。
これ、寝て起きたら夢でした……っていうオチだったりして。
そうだったら、変な夢見ちゃったよって、笑って終わりにできるんだけどなぁ。
そんな事を思いながら、私はベッドに横になり、目を閉じた。
「……なさい!つぼみ、起きなさい!」
遠くで私を呼ぶ声がする。
もう朝かー。
眠い目をこすりながら、ゆっくりと起き上がる。
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