第8話

これだけ酔っ払いがいるのに。

きっと、出入ではいりの度に中居さんが並べてるんだね。遅くまでお疲れ様です。

そんな軽い気持ちで、そこを通り過ぎようとした時、


「キャアァァァッ――……」


と女の人の悲鳴が宴会の間から聞こえてきた。


『な、なに?』


「誰か……、助け……――」


悲鳴に続いて、ガシャン!と何かが割れる音――

襖に誰かぶつかったのか、ベコッ!!と勢いよく凹凸ができる。

ギャアァァ、とかワァァァ! とか、男女の声が混ざり合うように漏れてきて、私は恐怖で動けなくなった。

中で、何かが暴れている気配――

その部屋から、とてもイヤなモノを感じた。何だろう、怒りと恐怖……

そう、――殺意――


『これだけの騒ぎ、近くの部屋で寝ている人は起きないの?』


震える足でゆっくり後ずさりし、誰か呼びにいかなくてはと踵を返したら、人の身体にぶつかった。


「どうした?」

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