第7話
先日、合宿と他県校との練習試合も兼ねて、弓道場のある温泉旅館に泊まった時のこと。
部の皆で、早朝に近くの山岳に登ったあと、100本打ちの練習漬けで疲れていたはずなのに、その夜はなかなか寝付けなかった。
少し離れた宴会場の間から、カラオケや酔っぱらいの笑い声がいつまでも聞こえてきたせいかもしれない。
それでも、午前零時を回る頃には部屋の皆は寝入り、一人だけ目が冴えて布団の中でスマホをいじったりしていた。
目は疲労を感じる。
しかし、眠たくならない。
無意味にアドレナリンでも出てるような感じだ。
明日は6時起きなのに……困った。
不意に時間を見た時、尿意をもよおした。
その大部屋にはトイレは付いておらず、廊下に出なくてはいけなかった。
布団から這い出ると、半乾きだった髪から滴がポタッと垂れた。
廊下に出ると、宴会場からはまだ音楽と騒ぎ声が聞こえてくる。
『……今、夜中の2時前だよね? ちょっと非常識じゃない?』
近くに高校生が泊まっている部屋があるっていうのに。
宴会場の前を通って、チラリと入り口に視線をやる。
しっかり閉められた襖の前に、スリッパがきちんと並べてあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます