scene 2: Letter from the past
「文也って、昔、playtime社で働いていたよな?うっわ懐かしっ、この味。」
板わさをつまみながら吹雪が尋ねる。
「ああ……それがどうかしたのか?」
「そこの近くで、行方不明事件が起きたんだ。」
「行方不明事件?」
「警察は、誘拐か、失踪か調べているらしいが、両親には電話すら来ていないんだ。」
「両親が黙ってるだけじゃねえか?」
「いや、気になって電話会社に問い合わせて調べてみたら、メールは愚か、電話すら来ていなかった。」
「妙だな。となると、家出なんじゃねえか?」
文也も焼き鳥を食べながら聞く。
「うん。でもね、友達二人、しかも中学二年が家出するなんてあり得るか?」
「高校生だったらまだしもなー。その家族、は仲どうだった?」
「いや、結構仲がよかったらしく、ケンカらしいケンカもしてなかったらしいぞ。」
「うーん。ん?それと、playtime社がどう関わってくるんだ?」
「それがな、こっからが俺が集めた情報なんだが…その二人が肝試し兼探検で、そこに行くと言っていたらしいんだ。」
「は?それで帰ってこないって…」
「そこで、何かあったんだろうな。」
「…なるほど。で、俺が探偵兼元警備員だったから、捜査に協力しろってわけか?」
「そ。ついでに特ダネの予感もするから、警察の捜査が入る前に調べて欲しいんだ。」
まじか、ていうか、こいつは来ねえのかよ⁉
「え、お前はどうするの?一緒に調べるの?」
「ああ、でも、元警備員のお前の協力があれば探索もしやすいだろ?」
「うーん、わーったよ。で、いつ調査するんだ?」
「明日の夜にしよう。警察もまだ目をつけていないからな。なるべく早くしようぜ。」
「わかった、とりあえず必要そうなもん見繕っとくわ。」
「オーケー。んじゃあ、健闘を祈って。」
キンッ
そして、晩ごはんを食べて、俺たちは家に帰った。
(ふー。久し振りに食ったけど美味かったなー。さて何か入ってるかなと…ん?)
いつも新聞以外全く入っていない郵便受けに入っていたのは、封筒だった。
「封筒?何なんだろう…」
家に帰って中身を確認した。
(吹雪からかな…でも、なんで封筒?宛名もないし…ん?)
中身は古びた黄色いカセットテープだった。
(カセットテープ?なんでまた…)
気になった俺は吹雪に連絡を入れた。
[吹雪、俺になんか手紙とか送った?]
しばらくして、あり得ない返事がきた。
[いいや、送ってねーぞ。どうかしたのか?]
・・・・・・は?
(じゃあ、このカセットテープは誰が送ってきたんだ?)
そして、更にあり得ないものを見つけた。
(ん?手紙?)
《dear 文也
あなたの力が必要です。
急いで日本のplaytime社に戻って来てください。
そして、私達を開放してください。
急がないと、私達は殺されてしまいます。
赤い花を見つけて。
from poppy》
from poppyという文字に俺は釘付けになった。
Poppy。この文を見る限り、手紙の主はpoppyと言うことになる。あり得ない。なぜなら、poppyは、人ではないのだから。poppyはplaytime社で作られていたとても小さい人形だった。
本国で一番最初に作られたおもちゃで、そこからplaytime社は大ヒットして莫大な利益を得た。
だが、なんで…人が書いた悪戯?いや、こんな手の込んだ悪戯なんて、やる意味もないし、わざわざ遠回しにplaytime社に戻れなんて書く必要もないのだ。だがどうして…
とりあえず、カセットテープを見てみよう。きっと何かわかるはず。
そこで俺は、黄色いカセットテープを見た。
(ん?これって...poppyの紹介映像?)
映像として映し出されたのは、poppyのおもちゃ紹介と、工場の生産の過程だった。
内容は世界初の子供と会話ができる人形 知能がある人形というらしい。つまり、poppyは現代風に言うと人形型Siriのようなものだ。
{え?具体例が古いって?そこはご了承願いたい。ー作者}
(そういやこんな風に作られていたっけ。ん?)
だが、映像がやや乱れた後、工場の内部の映像が一瞬見えた。そこには、壁一面の花の絵が書かれており、俺は直感した。これが、文章で書かれていた探すべき場所だと。
(とりあえず寝よう。考えるのはそっからだ。幸いにも、明日はバイトは休みだし。)
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