第7話

小鳥遊 耀


彼は本当につかめない。




嫌われてはおらず、むしろ懐かれているみたいなのだけど、それが逆に怖い。


だって好かれるような出来事があったわけでもないし、高校ともなると美術は選択授業のうちの1つでしかなくて、書道を選択している彼とは接点すらないのだ。





「小鳥遊くんねー、篠宮先生が来る前は、学校休むことも多くてね。」


「……そんな風には全然見えなかった」


「成績も普通にいいし、クラスの中心的存在だったから、不登校になるような理由が私たちにも分からなくてね」


「何があったんだろ…」




「うーん」と考え込む私を見て、首を傾げる橘先生。

その視線に気づいた私も同じように首を傾げる。





「小鳥遊くんって選択書道よね?

接点なんてあった?」


「あ、いやー…そんな大した関わりはないんですけど、何となーく?」


「あら、大した関わりがなくても生徒の異変に気づく!

篠宮先生も教師らしくなってきたじゃない!」


「…ははは」




嬉しそうにそう言って、私の肩をポンっと叩いてから橘先生は美術室を後にした。


「ほんと、何で私なんだろ」


結局何も解決せず、小鳥遊くんへの謎は深まるばかり。




そうこうしているうちに、あっという間に時計の針は進んでー…私は慌てて次の授業の準備に取り掛かった。

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