第6話

「なおちゃ…じゃなくて、篠宮先生!

おつかれさまー」


「橘先生!」




唯一美術の授業がないこの時間に、ひょこっと空いていた美術室のドアから顔を出した橘先生。




「調子はどう?困ったこととかない?」


「はい!授業するのはまだ少し緊張しますけど…だいぶ慣れてきました!」


「そっか、なら良かった。

声かけた手前、心配でさー」




そう言って笑う橘先生は今も昔も変わらない、私の憧れの女性だ。





「あ、ただー…」


「ん?何か心配事?」


「あのー、気になる生徒が1人。

2年生の小鳥遊くんなんですけど、」


「あー、小鳥遊くんねー」





私がこの学校に来てもうすぐ半年。


高校生って何となく大人びてて怖いイメージがあったのだけど、この学校の生徒は素直でかわいい子が多い。


進学校っていうのもあって、真面目な子が多いから、ここならやっていけそうって安心していた。





私の立場を脅かす、1人の生徒を除いては。

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