第8話

小鳥遊くんが美術室に顔を出すのは本当に気まぐれでー……





「なおせんせ、おはよ」


「おはよう、小鳥遊くん」


「ふぁー、ねむ……

ねぇちょっと休んでってもいい?」


「朝から何言ってんの!シャキッとしなさい!」


「ははっ、なおせんせーの顔見たら元気出た」





朝一、授業が始まる前だったり。






「なおせんせーまだいた。帰んないのー?」


「今日はまだ仕事があるから、」


「えー。じゃ、終わるまでここにいてもい?」


「……あのねぇ小鳥遊くん」


「はいはい。ダメ、なんでしょ?」


「用がないならさっさと帰ってご飯食べて寝る!」


「ははっ、勉強しろとは言わないんだ」





放課後、夕日が校舎を照らす時間だったり。






本当にバラバラで、突然現れる小鳥遊くんに、初めは悩み事でもあるのかな?とか、友達と上手くいってないのかな?とか、心配になって様子を伺ったりもしたけれど。


橘先生が言うように、私がこの学校に来る前も、今も、全く変わらず小鳥遊くんはクラスの中心人物なようだ。


顔よし、頭よし、スタイルもー…じゃなくてっ!

とにかく完璧で、順風満帆、何不自由なく生きているように見えるのだ。






「ほんとに、何なんだ」



私は今日も、小鳥遊 耀という人間が分からない。

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