第4話
モグモグと無心でアップルパイを頬張る私をニコニコと眺めていた小鳥遊くんが、時計を確認して立ち上がる。
「なおせんせ次休みでしょ?
よく噛んで食べてね」
「ばいばーい」と手を振り教室を出て行く彼に、慌てて立ち上がってー…
「たっ、かなしくんもっ、」
「……」
「お昼ご飯っ、ちゃんと食べなきゃダメだよ!」
「んー、」
「育ち盛りなんだからっ、」
「なおせんせーが一緒に食べてくれるなら」
「それはっ」
「ダメ、だもんね」
「いじわるー」と笑いながら遠ざかって行く小鳥遊くんの後ろ姿に、私は今日もため息をつく。
「何なんだ…」
小さなその声は誰にも届くことはなく、チャイムの音に消される。
高校2年生の男子生徒にからかわれるなんて、教師失格……しっかりするんだ私!!
両頬をパンッと強く叩いて、そのまま持参したお弁当に手をつけた。
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