第3話
「はい」
ゴクリ。
目の前には袋から顔を出したアップルパイ。
甘くて香ばしい良い香りが広がってー…
「……いただきます」
今日も負けた。
私は泣く泣く小鳥遊くんの手からアップルパイを受け取り、かぶりつく。
「ははっ、おいしーね?なおせんせ」
そんな私を見て満足そうに笑う小鳥遊くんは、今日もとても機嫌が良い。
アップルパイを頬張りながら財布を取り出し小銭を渡すと「はいはい、受け取りますよー」と素直に手を出す。
初めは「買ったげる」と言い張っていた彼だけど、頑なに奢られようとしない私に諦めたようだ。
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