第3話かっこいい
坪井、大崎、細田3人で坪井のアパートで旅行の計画を立てていた。
3人とも彼女がいた。顔に釣り合わない、可愛い彼女を。
何気に坪井は、タバコに火をつけて煙を吐くと細田が、
「坪井君、かっこいい!今の」
「何が?」
「タバコを吸う仕草が」
「そ、そう?オレ、かっこいい?」
「うん」
細田は最近、タバコを覚えた。マイルドセブンのエキストラライトを吸っていた。
まだ、1999年。メビウスではない。
坪井はマイルドセブンのチャコールで、大崎はラッキーストライクだった。
フィルターが茶色じゃないタバコは、タバコでは無いと彼は言っていた。
3人で、長野に行く計画を立てた。白馬まで。キャンプ場を発見したのだ。当時はスマホなど無く、旅行雑誌で情報を得ていた時代でもあった。
昼めしは、吉野家。
時間があるので、3人はパチンコ屋に行く。
坪井、細田はパチンコを打ち、大崎はスロットを打った。
坪井と細田は、レッツおとぎ村と言う台に座り、1500円で確変を引く。二人とも。
3連チャンで両方とも終了したが、1万5千円の勝ち。大崎は、ハナビで2万円勝っていた。
街をうろつく3人。
金はある。で、馬鹿だから村さ来で飲み始めた。
3人は、サークルの女子はブスだと話していた。大崎はかっこいいが、坪井、細田はブスだ。
旅行の費用は2万円で足りるが、お土産や色んな場所を巡るには、5万円は必要と結論が出る。
日にちは、8月の末。
だから、皆んな夏休みはバイトに明け暮れた。坪井はバイトを3つ掛け持ちしていた。
月15万円稼いでいた。
残りの時間は勉強の為に使う。それと、こんな遊びに。
3人は飲めやしないのに、日本酒を注文した。
細田が顔をしかめて日本酒を飲んだ。坪井、大崎も恐る恐る日本酒を口にする。
「大人って、何で、こんな不味い酒をのむのかな?特にオジサン連中は?」
と、細田が言うと、
「ビールだって、美味しくない!」
と、坪井は言う。
頑張って2合飲み終えた3人は、駅で解散した。
小腹の空いた坪井は、近所の焼き肉屋で焼き肉定食を注文した。
1100円で肉とご飯と生ビールが付いていた。
美味しくてリーズナブル。その後、何度も1人で通うと、キレイなお姉さんが近付いてきた。いつもこの焼き肉屋で働いている、お姉さんだ。
「お席失礼していいですか?」
「はい」
二人は話しながら、お姉さんはまかないを食べていた。
話しを聴くと、坪井が毎回1人で食べているから、店長がかわいそうだから一緒に食え!と言われて食べてるそうな。
川口の短大生だった。年齢は1つ上。恵と言った。中山恵。
この出会いは、坪井の人生を変える事になることを本人は気付いていない。
話すと、家は近所だった。ある日、坪井は中山のバイトが終わるまで店内にいて、一緒にコンビニで酒を買い、坪井のアパートで飲み始めた。
缶ビールは飲め無いが、不思議と生ビールは美味しかった。
二人は杏露酒や梅酒を飲みながらお菓子を食べた。
コーラも買って冷蔵庫に冷やした。
「坪井君、メガネ外して、髪の毛流せばかっこいいと思うよ」
「そ、そっかな?」
「ねぇ。彼女いるの?」
「もちろん」
「あぁ〜、先越されたかぁ〜。でも、バレなきゃ良いよね?」
「そんな問題では無いです」
「やっぱり、4年生大学生の人って、頭良いんだね。机の上の辞書がものがたってる」
と、ポケット六法とプログレッシブの英語の辞書が置いてあっただけだ。
この日をきっかけに、二人はしょっちゅう遊ぶ事になる。
坪井の彼女は、看護学生だ。
毎晩、男と飲んでいるらしい。目には目をだ!
ある日、坪井がパチンコを打っていると携帯電話が鳴った。
それは、彼女からであった。
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