第51話

「横恋慕ねー」


「ん?何か変だった?」


「今現在は、君が彼氏だとしても、いつかは……

なんて考えたりしないの?」


「……」


俺は言葉に詰まってしまった。


だけど、でも、綾は絶対心変わりしないって

言ってたし、俺たちは、そんな簡単に終わる関係じゃない

そう思ってるんだけど……。


「だって、相手があの安倍晴明だぜ?その辺の普通の男とは

レベルもスペックだって違うんだぜ?」


蘆屋道満は、俺の不安を焚きつける様に、次から次へと言葉を

口にする。


「お前さー性格悪くないか?俺の不安を煽ってどうしたいんだよ?」


「いや、そういうことじゃなくて、俺、心配なんだよ。

あの冷静沈着な晴明が、恋に現を抜かしたら

誰にも止められないんじゃないかって……。晴明の力が暴走するなんて

ことになったら……怖くないか?」


俺が、部外者なら、晴明が恋に落ちて、鼻の下を伸ばしているところを

見てみたい気もしたけれど

残念ながら、俺は関係者だ。

晴明が全力で俺たちの仲を引き裂くようなことがあったら……。

そのうえ、晴明の力が暴走するようなことがあったら……、

果たして俺は止めることができるのか?


……無理だ。

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