第44話
買い物を済ませて、俺のアパートまでやってきた。
片手に荷物を持ち、片手で綾の手を握りながら。
部屋は、あまりものを置いていないので
小汚い感じではないと思うけれど
この部屋に女子どころか、他人を入れるのは
初めてなので、緊張した。
「あんまり、綺麗じゃないかもだけど、どうぞ」
そう言って、俺は部屋に彼女を促した。
「お邪魔します」
そう言って、彼女は部屋に上がった。
「いきなり、押しかけちゃったけど、意外と小ぎれいに
片付いてるね」
「そうかな」
「うん、兄の部屋なんて、漫画が山積みになってて
部屋中ごちゃごちゃだもの」
「お兄さんいるんだ?」
「うん、今、神主になるべく修行中」
「じゃあこの前の、婿養子って、やっぱ冗談だったんだ」
「あれ?本気にしてた?」
「ちょっとだけ」
「別に、婿養子じゃなくてもいいじゃない、私が、お嫁に
行くってパターンもあるでしょ?」
ん?
もう、綾は、俺と結婚する気満々なのか?
これは……俺は何て答えるのが一番いいんだろう……。
少し考えてから言ってみた。
「今すぐ、来たら?」
「ん?何か言った?」
そう言う綾は、絶対聞こえているくせに、聞こえないふりしていると
思った。
顔がにやついている。
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