第43話

繋いだ手から伝わる、綾の体温が

なんとなく、くすぐったいような照れくさいような……。


だけどずっと繋いでいたい


そんな気分だった。


「私の家に来てもらっても良かったけど……

なんだか落ち着かないって、湊、言ってたし……」


確かに……。

二人っきりで、綾の部屋にいたとしても

綾の両親が階下にいると思うと、何も出来ない……。


と言いつつ、キスはしたけど。

ハグもしたけど。


しかし、当然ながらそれ以上のことは

憚られた。


まだ知り合って間もないのに、こんなに急スピードで

事が運んでしまっていいのか?


でも、彼女の両親とは対面してるし

問題無いのか?


うーん……。


もっと、綾の事が知りたい。

何でもいいから、知りたい。


綾の心も体もすべて

自分のものにしてしまいたい。


なんてがっつきすぎかな……。


とりあえず、俺の家に行ってからじゃないと

何も始まらないんだけれど。



そういえば、家に帰っても食材が無い事に気づいた。


「うちに来てもいいけどさ、何もないぞ?」


「そうなの?じゃあ買い出ししてく?」


「うん、悪いな」


「ううん、なんか、同棲してるわけじゃないけど

それっぽくて楽しい」


同棲か。

それもまた楽しそうでいいな。


前世では叶わなかった事。


綾と毎日、朝から晩まで一緒にいられたら……

幸せすぎてどうにかなりそうだ。

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