第39話

「ふーん、君は、1200年前と変わったね」


「何処がどういう風に?」


「あの頃の君は、妖魔退治に明け暮れていて、恋愛なんて

そっちのけだった」


「そうだったけど、今は、変わったんだよ」


「やはり、あの蘆屋道満との一件か」


「もしも、また生まれ変わるなら、今度は絶対、彼女を

守るって決めてたんだよ、あの一件で」


だから、晴明、早いところ、蘆屋道満を見つけ出して

この自然災害で多くの人の命が奪われている状況を

打破しよう。


そして、平和な時間を取り戻したいんだ。


そして、綾と普通の恋人同士でいたいんだ。


出来れば、霊感なんて全くない一般人として

生まれ変わっていたかったけど

霊感があったからこそ、俺と綾は出会えたのかもしれない。



そう思うと、やりきれない気持ちにもなるけれど……


「湊は、明日、講義ある?」


「ないよ」


「そっか、私もないんだけど、とりあえず

今日は、北海道に帰ろうか?」


「そうだな」


「うん」


「大体、湊との初のお泊りが、晴明の家なんて

なんか味気ないって思うし」


「そこかよ」


「というわけで晴明、お邪魔しました。

晴明の用事の件は了解したから、次回は手土産でも

持ってくるね」


「ありがとう、”藤守さん”

で、いいんだよね?」


ニコリとしながら、晴明は俺を見たので、俺は

コクリと頷いた。

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