第37話

京都と北海道を結ぶ、晴明による術の使われた空間を通り抜け

晴明に化けた、キツネを合わせて三人で京都に向かった。


向かった先に辿り着いたのは

日本風の和の要素がふんだんに取り込まれた

とても立派な屋敷だった。


本当に現代にある建物なのだろうかと疑問に思う程に

古典的な建築様式だった。


俺と綾が不思議そうな顔をしながら屋敷に入っていくと

東に化けたキツネと同じ顔をした人物が現れた。


「晴明様、おふたりをお連れしました」


「ご苦労だったね、北海道からふたりを連れて来てくれて

ありがとう」


にこりと笑うその笑顔はイケメンそのもの。

男の俺でも惚れてしまいそうなくらいだった。


「久しぶり……と言った方がいいのかな」


「あれだよな、大学の廊下ですれ違った時が、晴明だったんだろう?」


「と言うか……1200年ぶりの再会に関して、久しぶりと

いうべきかなと」


「どっちでも、いいよ」


「相変わらず、素っ気ないな君は」


「晴明の理屈っぽいところも変わらない」


「ちょっとー二人だけ仲良く会話して、私の存在忘れてない?」


「君にも会いたかった、また再会できるなんて、思ってもみなかったよ」


「ねぇ、蘆屋道満の話を多少は聞いているんだけど、まだ見つかってないって

本当?」


「この間の地震の被害者をみたら分かるよね」


「そっか……」


「ふたりに会えたから、本当のことを話すけれど、僕の北海道での学生の姿は

仮初の姿なんだ」


「だろうな」


「京都大学に通ってるんだ、妖魔の数も、こちらはそちらの比じゃない。

歩いているだけでも、そこらじゅう妖魔が溢れかえってる」


「まずは、蘆屋道満を見つけ出したいってことなのね?」


「そういうこと」


「でもさ、晴明だって簡単に見つけられていないんだろう?」


「おそらくは、蘆屋道満は、転生こそしていても、まだ覚醒していないんじゃないかと

思ってる、だから、今は、気が見えないんだ、僕の術を使ってもね」


「俺たちふたりは、何か役に立てるのか?」


「信用できる仲間が、二人以外いないんだ、式神はまた仲間とは

違う気がするし」

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