古(いにしえ)の都へ

第34話

弓道部の道場にあれほど溢れていた

妖魔たちも、東と現世では名乗る、安倍晴明も

参戦することとなると

あっという間に退治が済むようになり

安倍晴明の力で、妖魔の通行口を封印して

妖魔の通り抜けができないようにした。


俺と綾のふたりは、晴明が封印する間

周りにいた妖魔たちを退治していた。


退治している間……

この間の、東の綾への視線を思い出す。


思い出すとやきもきしてしまう……。


東は、人の恋路を邪魔する気は無いなんて

言っていたけれど、本当は綾を追いかけて

この地に来たんじゃないかなと

俺は思っている



まぁ、単なる俺のやきもちからの推測に過ぎないのだけれど……


あれだけ前世でもモテモテで

現世でも当然のようにモテている男だから

女子に興味がないなんて

それが普通なんだろうか?



それとも……

安倍晴明にも、前世で因縁のある恋する相手がいるとか……


俺が、ああでもない、こうでもないと

思案していると


綾が俺の視界に入ってきた


「湊?」


「ん?」


「ちょっとー、もう、話ちゃんと聞いてた?」


「ごめん……ちょっと、ぼーっとしてた」


「しっかりしてよ、私の事、いつだって、ちゃんと

守ってくれるんでしょ?今ね、東くんが、重要任務を

私たちに任せてくれたんだよ?」


「重要任務?」


「皇くんのために、もう一度言うね

藤守さんと、三人で京都に行ってみない?」


三人で京都?


いや……普通さ、任務を任せるのなら

綾とふたりで行かせるべきなんじゃないか?


と俺は疑問に思った。


やっぱり東は……


「僕が、この街に来た本当の理由を明かすべき時が来たね」


東の奴

やっぱり、何か企んで、この街に来たんだな

最初から教えて欲しかったけれど、初対面から

いきなり作戦を話す奴はいないよな

「この数十年のことを思い出して欲しい。

戦争は起きなかったけれど、日本に何度も

どれだけ大きな自然災害が起きたかということを」


言われなくても

知っている


阪神淡路大震災……東日本大震災……

この震災で多くの命が奪われた


未だに行方不明の人もいるという


「その理由は簡単なんだ、日本でも有数の

パワースポットを有する京都の力が落ちてきているのが

原因なんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る