第78話

月曜日も忙しかったけれど…

今日は、それ以上に忙しく感じる…


火曜日は…少ししか眠ってなかったから

僕は仕事でミスをしないように

いつも以上に慎重だったので、

あまり、吉田さんのことばかり考えたり

話しかけたり、見ていたり…

全然できなかった…


それは、吉田さんも同じだったようで…

僕たちは目が合うことがないまま

仕事をしていた。


それでもお昼休みは、ちゃんと取った。

ランチは、火曜は、ビルの外に出てみた。

水曜は、あいにく雨でビル内の最初に行った

例のお店へ。

木曜日も、ビルの外へ。


そして、今日は金曜日だった。

忙しいのも無理はないか。

週末だから、休み前の業務連絡の電話も

たくさん来るわけで、メールの量もいつも以上だった。


今日は、ランチに行く暇ないかも…


僕の唯一の癒しの時間が…

パソコンの画面を見ながら思わずため息をつく…


パソコンの画面の表示は、もうお昼の時間だ…


「吉田さん、休憩に入ってください」


情けないところは見せられないので

僕は、努めて明るく笑顔を作ってそう言った。


「社長は、まだお仕事片付かないですか?」


「そうですね…今日は、一緒にランチ行けませんが…」


「良かったです」


ホッと安堵の息を漏らす吉田さんの言葉に

なんだか悲しくなる…

僕は、唯一の癒しの時間と思っていたのに

吉田さんは、僕と一緒だと落ち着かなくて

やっぱり嫌だったのか…


「実は…」


とりあえず、彼女が次の発する言葉を

僕は待った。

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