第77話

コンビニでは、結局、何も買わずに

お店を後にしました…


お店には、申し訳なかったのですが…

でも、駅前のコンビニだったので

忙しそうな店員さんの様子が

買わずにお店を出る私の罪悪感を

帳消しにしてくれたような気がしました。



「お昼は、マックとかにしてもらえます?」


「マックがいいんですか?」


「その方が、私の罪悪感が薄れるというか…」


「吉田さんは、僕を平社員だと思ってるんですか?」


「…いえ、社長だと…」


「そうですよ、だから、あまり気にしないでくださいね」


気にしないでくださいね


なんて

爽やかな笑顔付きで言われたとしても…

やっぱり気になるものはきになります。


これは…早々にお弁当作ってくるしかないですね…


そうなると必然的に社長の分も作ることに…


そういえば…私…

彼氏にお弁当とか作ったことなかった…


料理の腕前だって、けして自慢できるほどではない。

しかもレパートリーだって…

さすがに…自分の分だけのお弁当じゃないんだから

冷凍食品の詰めまくりじゃダメだろうし…


しかも、社長、その上、好きな人…

となると、私も少しは頑張らないといけないですよね。


こんなことなら…

実家にいたころ、もっと頑張って母から料理を

習っておくべきだった…


でも、今はネット社会。

クックパッドとか、色々レシピを調べる方法はある。

まぁ…クックドゥくらいまでなら

許されるかな…



「社長は、好きなものとか嫌いなものって

そんなに無いんでしたっけ?」


「そうですね、でも…おかずの中に果物が入ってるのとかは

苦手かな」


「ポテトサラダにミカンとか、酢豚にパイナップルとか

そういう感じですか?」


「まさに、それなんです」


「分かります」


意外…実は私も、そういうおかずって好きじゃないんですよね。

まさか、食の好みも一緒なんて…なんだか嬉しいな。

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