第72話

改札を出ると、見慣れた後姿が…


あれは…社長?


車両が違うだけで同じ電車に乗っていたんだ?


そう思いながら

社長に近づこうとするものの

あまりの速さで追いつけない私でした…


いえ…

本当は、追いつこうと思えば追いつけましたが…

声を掛けるのが気恥しいというか

照れくさいというか…

とにかく、気軽に声をかけるのが

ためらわれるくらい

既に心臓がドキドキしていたのです。


初めて会った時は

イケメンだなーとか

こんなイケメンと一緒に仕事ができたらいいな

とか

そんな風に気軽に思っていたのですが

今では、恐れ多いというか…

好きすぎて、簡単に声を掛けるなんて

できない私がいました。


だったら、素直に


はい


って言って付き合ってしまえばいいと

思う人もいるのかもしれませんが

気軽にそんな言葉を言えないくらい

大切で大事にしたい想いなのでした…



そんなことを思っているうちに

社長はどんどん先に行ってしまっていて…


気づけば私の視界から外れていました…


後ろから、こっそり背中を見てるのも

幸せだったんだけどな…



とりあえず、待たせても悪いから

急がなくちゃ…


私が先を急ごうとした時でした。



「おはようございます」


聞き慣れた、爽やかな声が聞こえてきました…

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