第68話

勢いでついつい、意地悪なことを言ってしまった…


まぁ、冗談半分で言っているんだけど。


僕はそんなつもりで言ってるのに

彼女からの返事はすぐには、返ってこなかった。


まさか…真に受けたとか…?


「えーと…あの…本気で言ってます?」


かなり困った様子で、彼女はそう聞いてきた。


僕は、彼女をあまり困らせたくなくて


「えーと…少しだけ本気ですが、割と冗談です」


と控えめに答えた。


「え、冗談なんですか?」


「冗談だとまずかったですか?」


「いえいえ!冗談で良かったです!」


思いっきり肯定された…。


まぁ、今はまだ正式に付き合ってるわけではないし。

それに、知り合ってから間もないのに、ちょっと

これは、贅沢なお願いすぎだ。


「さっきから、色々考えてたら、なかなか

眠れなくて…」


「色々って、昼ご飯のことですか?」


「…とにかく、それも含めて色々です」


それも含めて色々って…

やっぱり彼女もあのキスの続きのことなんかも

考えていたのだろうか…


その辺をはっきりと聞きたかったけれど

あまり、聞きすぎても、困らせるだけだと思い

聞かないことにした。


「お昼、どうしようかな…」


「もう、こんな時間だし…

明日は早起きするのは体力的に無理なので…」


「じゃあ、やっぱり、奢ります」


「私のことはお構いなく」


「僕一人で、ランチですか?」


「もう…私にどうしろって言うんですか?

4回も奢ってもらいっぱなしなんて気が引けます…」


「分かりました、じゃあ中間にしましょう。

明日、一緒にコンビニに行くのなら、どうですか?」


「え、でも社長は、いつもは外食なんじゃ?」


「いえ、時間のないときは、コンビニで済ませたりも

しているので。それに、せっかく、同じ職場なんですから、

少しでも、一緒にいたいと僕は思うので」

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