第69話

社長は、またも

最後に、気障っぽい、甘い言葉を付け加えていました。


それにキュンとなる私…

単純…


でも…

あのイケボで電話越しに言われたら

きっと、誰だって

ドキッとするはず。


私だけじゃない。


私だけに言ってくれているんだろうけれど…


まだ、自信無いです…


まだ、もう一人の女子社員の方とも会っていないし…


あーもう…

桜井さんに太鼓判押されたくらいなんだし

きっと、社長は大丈夫だと信じたい。


単純に考えられない自分が嫌になる…


私も、社長みたいに、さらっと気障な言葉が

言えたらいいのに…

そうしたら、きっと私の社長への気持ちも

もっと簡単に伝わるのに…


「…素なんですか?」


「え?」


「私、心臓がいくつあっても足りないくらい

社長の言葉にドキドキさせられっぱなしなんですけど…」


「僕に、ドキドキさせられるのは嫌ですか?」


「…嫌なわけ…無いです…」


「良かったです」


「…あの、明日は駅前のコンビニで待ち合せましょう」


私は、このままだといつまでも電話が切れなくなり、

お互いの眠る時間が減ってしまうことになると思い

電話を切るべく、会話を切り上げようとしました。


「明日か…明日まで会えないんですよね…」


「明日と言っても、あと8時間後くらいですよ?」


「ずっと吉田さんの声、聞いていたいです…」


イケボでこのセリフの破壊力…凄いです…

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