第65話

まさか、ショートメールを送ったのに

電話がかかってくるとは思いもしていなくて…

ずっと鳴りっぱなしの電話じゃなければ

きっとタイミング悪くて私は電話に出れなかったと

思います。


それくらい出るまでに時間がかかりました。


「メッセージありがとうございました」


「すみません、遅い時間に迷惑かなとも思ったんですが、

ショートメールとかなら迷惑じゃないかなって、思って…」


「電話でも全然、迷惑じゃなかったですよ」


社長は、迷惑じゃないのかもしれないけれど…

私は、かなり緊張していました。


社長の声が聞けたことは、嬉しくないと言ったら

嘘になってしまうくらい、嬉しいことは嬉しかったのですが…

心の準備が追いつきませんでした…


さっきまで、少しだけ甘い時間を過ごしたというのに…


「今、何かしてたんですか?」


「…すみません…電話がいきなり鳴って動揺して出られませんでした」


って、私、初々しすぎる…

社長よりも年上なのに…

中学生じゃあるまいし…


社長も同じことを思ったのか

笑ってる様子が電話越しに聞こえました。


「そんなに、僕からの電話に緊張しますか?」


「慣れた人だったら、大丈夫なんですけど…最初の電話って、緊張しません?」


「僕は、職業柄、慣れてるからなのかな…というよりも…声が聞きたかったというのが

正直なところですね」


社長…いきなりストレート過ぎる…

でも、そんなこと言ってくれるなんて、嬉しすぎる…

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