第61話

不意に社長の顔が

近づいてきたので

一瞬、驚いたのですが…


まさかの

おでこにキス


気障だな…


なんて

思いつつ大事にされている感が

凄くて


とても嬉しくなりました。


おでこにキスなんて

少女漫画か、ドラマや映画の中でしか

見たことなかったのですが

現実にそうされるとなると

ちょっと気恥しいものですね


この人は

こんな風にいつも

彼女になった人を

大切にしていたのかな


そう思うと

少しだけ、嫉妬してしまいました。

社長の歴代の彼女に…


私より年下なのに

私のほうが押されてる感じだったけれど

こういう感じのアプローチのされ方もまた

いいなと思いました。


私より年下なのに

余裕ありそうな感じが

乙女心をくすぐります。


私たちが

一線を超えるのは

まだいつになるのか分からないけれど…


こういう感じで

私たちは私たちなりに

少しずつ距離を縮めていくのが

私には一番合っているんじゃないかと

改めて思いました。


歳のこと

気にしすぎかな…


でも

こんなキスする余裕ある社長のことが

自分よりもずっと、年下だとは

だんだん思えなくなってきている私がいました。



社長の手から、そっと離れた私の手に残る

社長の体温よりも、おでこにされたキスのほうが

ずっと熱を帯びてる…


そんなことを思いながら


「おやすみなさい、気を付けて帰ってくださいね」


私は、社長にそう言って、軽くお辞儀をしました。

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