第43話

運命の人…

そう思っているのは

僕の方だけなんだろう。


吉田さんは

徐々に距離を

詰めていきたいようだし


その間に

他の男に気を取られないか

心配だった


こういう、桜井みたいな

フレンドリーな感じの男は

要注意だ


「そこまでにしてくれる?」


僕は、そう言って桜井と吉田さんの

間に立ちふさがる。


「え?何?」


「桜井は、何を吹聴するか分からないから」


「ふーん」


桜井は、そう言うと

ニヤッとしたように見えた。


多分、僕の今の行動で

吉田さんに対する気持ちは

バレてしまっただろう。


まさか

桜井に限って、僕から吉田さんを

奪うなんてことは

無いと思うが。


「で、何か用あったんだっけ?」


「来月の、予定を提出しようと思ってたんだけどさ」


「あぁ、テレワークの」


「そうそう、色々忙しくて、会社に、しばらく顔出して無かったしね」


「そんなに久々だった?」


「そうだよ、顔忘れられるんじゃないかって思ってたくらいで」


「冗談」


「冗談に決まってるだろ」


そんなやり取りをしている

僕と桜井のことを吉田さんが

どう思いながら見てたのか僕は知らなかった。

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