第30話

出社時間が遅いせいもあり

お昼は1時過ぎに取ることが多いんだけど…


僕のペースに合わせてもらっていいのかな…


そんなことを思いつつ

事務所に鍵をかける。


いつも、ランチタイムは一人だったから

自由は自由だったけれど

寂しい気もしていた。


でも、今日は違う。

しかも、好きなタイプの女性と一緒。

オンでもオフでも一緒なんて

今まで一人で仕事を頑張ってきた

僕への神様のご褒美に違いない。


僕は、エレベーターのボタンを押す。


「このビルの地下に、美味しい洋食屋さんがあるんです」


「そうなんですか、じゃあ、ゆっくり食べれそうですね

異動時間気にしなくて済みますし」


「僕と一緒の時は、あまり時間のこと気にしなくていいですよ、

その方が僕も助かります…」


次から次へと、連続アプローチしてるつもりの僕なんだけど…


吉田さんには、あまり効いてないようだ。

なんだか、恥ずかしくなってきて

思わず視線を逸らしてしまった。


実は、今日は、あまり眠れてはいなかった。

吉田さんと、一緒に朝からずっと仕事が出来ると

思って、興奮しすぎたようだった。


さっきも、仕事の説明をしつつ

彼女に見惚れてしまいそうになっていたし…


社内恋愛の経験は皆無なんだけれど

一体どこからどこまで

オンでオフなんだろう…


エレベーターの中には

何人か人が乗っていて

僕らは、二人きりにはなれなかった。


まぁ、いつも会社の事務所にいる間は

当分二人きりなんだけど…


エレベーターが

地下1階に到着して

僕らは店に入った。

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