第29話

「…という感じですね」


社長から一通りの仕事内容を

教わりました。


あくまでも会社の補助的ポジションで

勿論、社長のお仕事の補助をすることも

あるようでした。


「疲れましたよね、詰込みまくりで」


と言いながら、笑顔を見せる社長。


イケメンの笑顔だけで、十分癒されてるので

大丈夫です。


という言葉は胸にしまいながら


「社長も、朝から私につきっきりで

お疲れじゃないですか?」


「いつも僕の心配をしてくれますね」


「そうですか?」


「そうですよ」


一応、無意識のうちに出ている言葉なんだけれど

いい人ぶってるって思われないかな…

なんてことを私は心配していました。


「まだ、入ったばかりですけど、社長の心配をするのも

社員の仕事ですから」


「…そうきますか」


「え?」


「そういえば、もうお昼の時間ですね」


「お昼休憩は、いつもこの時間帯でいいんですか?」


「その時の仕事量によりますけどね、たまに押してしまう事も

あります」


「わかりました」


「吉田さんは、今日のお昼はどうします?」


「それが…お弁当を作ってくるつもりだったんですが…」


「もう、何か買ってあるんですか?」


「無いです、お昼は買いに行くか、食べに行くか

どちらかにしようと思ってました」


「じゃあ、今日は食べに行きましょうか」


「社長は、いつもはどうされてるんですか?」


「その日の気分次第ですが…吉田さんと一緒の方がいいので

これからは合わせますね」


社長は、また爽やかに私を見て笑った。


私と一緒の方がいいって…


ドキドキさせることを言うなんて

社長は罪作りな人…


私の気も知らないくせに…


なんてことを思いながら…


毎回、ドキドキさせるようなことを言いながら

爽やかな笑顔で帳消しにする社長って

女殺し過ぎる…

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