第11話

やった。


心の中で小さく僕はガッツポーズをした。

これって、期待していいってことか。

でも、ガツガツ行き過ぎるのもダメだよな。


年下だし…

それも、かなり…


社長なんだから

さらっとした感じでいかないと。

少しでも好感度を上げていけるように。


「じゃあ、今ある仕事1時間で片付けますね。

食べ物の好き嫌いは有りますか?」


「美味しいものなら、なんでも食べますよ」


「分かりました」


そのあとの僕は

吉田さんが僕をどういう風に思っているのかも

何も考えず、仕事に没頭した。


吉田さんは、郵便物の開封と、整理をしていた。


そして、パソコンの時計に表示された

1時間後に僕は


「終わりました」


と言った。


我ながら、優秀。

時間にぴったりというのも、好感度ポイントになるかな。


「お疲れ様です」


特に吉田さんは感情を込めて言ってるわけでもないのに

僕には、特別な言葉に思えた。


まぁ、ここのところずっと一人で仕事してたから

そのせいもあるんだと思う。


特に、意識して笑顔になってるわけでもないはずの

彼女の表情に癒されて思わず、デレそうになっていた。


いけない、いけない。

彼女との食事を終えるまで

今日のところは、紳士でいなければ。

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