第9話

「吉田さんは、このあと特に用事は無いんでしたよね?」


「はい、幸か不幸か分かりませんけど」


「じゃあ、僕も今ある急ぎの仕事を片付けるので

終わったら、晩御飯奢ります」


「わぁ、歓迎会してくれるんですか?」


吉田さんの表情がぱーっと明るくなった。

そういうつもりで、言ったわけじゃないのだけれど

だからと言って、下心があるので…とも言えない。


「二人だけですけど」


「あ…」


「僕と二人でも良ければですけど」


「え…」


僕の念を押すような言葉に、吉田さんは動揺しているように

思えた。


今日知り合ったばかりの女の人に、ちょっと押せ押せムードすぎたかな…


いや、これくらい普通なはず。

これで引き下がられるようなら…脈無しなのかな…

それとも、すでに意識してくれてるとか?


僕の思考は、ぐるぐると廻り出す。

それも、一人で勝手に…

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