第7話

まずい。


どうしよう。

困ったな。


僕は、物凄く動揺している。


この会社を設立して、初めて面接に来た女性の吉田さん。


あまり派手ではなく、落ち着いた感じで、

それなのに、年の割に年齢不詳な童顔。

そして小柄だった。


見事に僕のタイプだった。


大人だからか、元々の性格だからなのか

礼儀正しいし気遣いもできて…


もしかして

僕の運命の人とか?


いや、そうだとしても

どうしたらいいんだろう…

まさか、いきなり面接を受けに来た女性を

食事に誘うとか普通あり得ないだろう。


しかも

忙しくて

しばらくデートもしていないから

どう誘ったらいいのかすら

分からなくなっている。



「採用します。」


「え?いいんですか?」


吉田さんの表情が明るくなった。

眩しすぎて僕は目を逸らしそうになる。

咄嗟にで言った言葉だったけれど、功を為したようだった。


「はい、是非」


よこしまな心とは裏腹に、僕は爽やかな笑顔を見せる。


「いまから、お仕事頼めます?」


「はい、喜んで!」


「じゃあ、お言葉に甘えて。珈琲淹れてもらえます?」


「はい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る