第39話

私は、先輩にジャージと大きめのTシャツを手渡し、バスルームに案内しました。


部屋の中は、結構水浸し状態だったんですけど、とりあえず、私も着替えをしようと思い、奥の部屋で着替えることにしました。



いくら家着でいいとはいえ、初めて家にやってきた彼氏の前で、あまりにひどい格好は、できないと、箪笥をもぞもぞしていたら、バスルームから出てきた先輩が



「タオルサンキュー」


といいながら、私のいる部屋のほうに近づいてきました。


で、振り返って、ばっちり目が合ってしまいました・・・。




「きゃー 見ないでください!」


上半身は、下着以外何もつけていない状態だったので、慌てて私はしゃがみこみました。



「・・・悪い」



照れたのか、先輩は、すぐに反対側を向いてくれました。



で、私も慌てて着替えを、手早くすませました。




「と、とりあえず、コーヒーでも入れます?」



気を取り直して、平静を装い、私は、先輩に話を振りました。



「ああ」



コーヒーの入ったマグカップを、テーブルに置き、ソファに座っていた先輩に、どうぞと云ってすすめました。



「さっきは、悪かったな」



「忘れてください」



「やだ」




「え?」



「さっきの下着、可愛かったし」



先輩は、悪びれる様子もなく、そう云いました。



あんな一瞬で、私の下着まで見てたなんて・・・


もう恥ずかしくて、私は先輩の顔をまともに見れなくなってしまっていました。



とりあえず、自分の部屋なんで、いつもの自分のポジションに座ってたんですけど、どうやら、先輩は、それがお気に召さなかったようでした。



「なんで、隣座んないの?」



「私、いつもこの場所に座るのが落ち着くんです」



「寒くないか?」



「先輩は?」



「寒い。だから、こっち来い」



私は、おずおずと先輩の隣に座りました。


いきなり抱きしめられたら、どうしようとか思ってたんですが、今回は、そういうことは無くて。



そっと肩に腕を回されました。


私の頭が先輩の肩に乗るような感じで。


心拍数が、また上がり始めました。


先輩は無口だから、こんなときは、沈黙が、辛いです。



私の、心臓の音が聞こえちゃうんじゃないか・・・って思うから。



「雨・・・なかなか止みませんね?」



「そうだな」

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