第29話

うわっ。


電話だ!


で、出ないと!


って、私、どうして毎週のようにかかってくるこの電話に未だに慣れないんだろう。


落ち着け、私の心臓。


携帯の音が、1分以上鳴り響いた後


私は、やっと携帯の通話ボタンを押しました。




「あ、えっと・・・どうも」



私の返事は、こんな感じでいつもぎこちないです。

もうちょっと、可愛らしく出ることができたらいいんですけど

いまだに慣れないんです・・・

この先輩と付き合うってことに・・・


まだ一ヶ月ってこんなものですか?


それとも私くらい?


先輩は、こんな私をどう思うんでしょう


と思うと・・・・


情けないというか、本当に私が先輩の


彼女でいいのかとか・・・・


不安がよぎります。



「どうも・・・って何が?」



「あ、あのーその、なんていうか、言葉のあやというか・・・」



先輩は、なんだか不機嫌そうな感じ。



「お前さー なんで、いつまでも、そうやって他人行儀なの?」



「えっと・・・その・・・それは・・・あの・・・前にも話したと思いますけど、私、先輩にずっと憧れていて・・・」



「あーそういう話してたね」



「憧れの人だったんで、その普通に話せと言われても・・・」



「憧れだろうが、なんだろうが、俺はお前の何?」



「あ・・・えっと・・・」



なんだか、今日の先輩って、ちょっと意地悪っていうか、なんていうか・・・


こんな言葉にドキドキしている


私も、まるで小学生並みな気がするんだけど・・・



「・・・彼氏・・・です」



「彼氏なら、もっと普通に話してもいいんじゃないの?」



「す、すみません・・・」



「って、なんだか俺がお前いじめてるみたいだな・・・」



「え?先輩、私をいじめてたんじゃないんですか?」



「は?どこが?」



「だって、私が言いにくいこととか、聞いてくるし・・・」



「言いにくかったんだ?」



と言った先輩の声は受話器越しだから


なんとも言えないけれど


楽しそうでした。



もう!


こんなことなら、最初から、いじめてるっぽいとか言わなければ良かった!


と私は思いました。



「俺はもっと、言いにくいことを言わなきゃならないんだろうなぁ」



「え?」



「あ、いやなんでもない」



「ところで、明日でいきなり悪いけど、暇?」

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